こんにちは、youheiです。
NHK番組の「超絶凄ワザ」で修復不可能になった思い出の写真を蘇らせたい!という内容でした。
その写真を依頼された方は37年前に撮った写真が日焼けで色落ちしてしまいました。
なき夫の表情が分からなくなってしまったので何とか修復してもらいたい、とのことでした。
実はこの企画を行うにあたって20以上の専門業者に依頼したものの断られてしまっていたのです。
復元に要する期間は1か月という厳しい条件でした。
アイワードの技術者および北海道立総合研究機構の宮崎俊之と画家の石黒賢一郎の各氏が復元依頼を引き受けたのです。
最新鋭の機器を使って科学的に復元を試みる!
宮﨑氏は2015年度の科学技術振興機構マッチングプランナープログラムにおいて2015年度退色カラー写真復元システム改善のための技術開発という研究実績があります。
最新の科学技術を駆使して変色してしまった写真に残された色の成分から復元させようと試みます。
一度は写真を復元させることに成功します。
ところが退色が激しく満足のいく状態にまで出来ませんでした。
原因は写真の表面についたノイズ(汚れ)が復元を妨げていたのでした。
そこで分光測色計(微妙の色素を読み取れる機器)を用いて再び復元作業を行うことにしました。
その結果…
精密な描写力を生かして復元に挑む!
一方の石黒氏は東京都日野市に在住で、写実絵画を専門とする現代作家の第一人者です。
高い描写力には定評がありさまざまなコンクールで受賞を重ねています。
さて、これまで石黒氏は見えたものを忠実に描く、ということを続けてきました。
ところが今回のように色あせたものを復元することは初挑戦でした。
カンヴァスに下絵をトレースし終えたまでは良かったのですが、ここで中断することに。
顔の表情がうまく捉えにくい…
そこで依頼者の自宅へうかがい、奥さんと息子さんの姿をデッサンさせてもらいました。
年を重ねても骨格や目鼻の位置はほとんど変化しないためとのこと。
さらにモデルとの対話によって表情を表すきっかけになるそうです。
試行錯誤を経て作品は完成しました。
まとめ・復元の結果はいかに?
まさにデジタルとアナログの戦いとでも言うのか、どんな仕上がりになるのか放送日が楽しみでした。
アイワードと宮﨑氏が手がけたデジタル写真の完成度は実に見事でした。
最新の技術力を駆使するとここまで鮮明に復元出来るのかとびっくりしました。
宮﨑氏は肌色を復元するのに苦心されたとのこと。
(ハイテクチームはさらにもう一点色あせた家族団らんの写真も復元し、スタジオ内をびっくりさせていました)
そして石黒氏の作品は黒板に貼り付けた写真をイメージして制作されたとのこと。
ただ克明に写真を復元させるのではなく、色あせた部分も含めて思い出として作品の中に込めようという意図でした。
しかも黒板の中に描かれている落描きには息子さんの子どもたちが描いた絵を取り入れているという凝りよう。
どちらの作品が優れているか、ではなく家族の思い出と絆を見事に作り上げてくれた結果を称えるべきだと思います。
特に石黒氏の場合は絵画ならではの手法によって親子三代のつながりまでも表現されたのだから素晴らしかったです。
写真と違って温かみが感じられるような仕上がりに思えました。
(作品サイズはテレビで観た限りでは6号[約40×30cm]ほどと推測されます)
このワザに関して言えば、さすがにデジタルの力でも表現は難しいでしょう。
超絶凄ワザ
※石黒氏にはTwitterにて拙ブログの記事を紹介してくださいました。
この場を借りてお礼申し上げます。
写実絵画専門に扱う美術館には石黒氏の作品も
千葉県にある写実絵画を専門に収蔵している美術館にも石黒氏の作品が収められています。
興味のある方は一度足を運んでみられてはいかがでしょうか。